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日本臨床検査医学会会員の皆さまへ

日本臨床検査医学会
 理事長 村田 満 

 

理事長 村田 満

 

 本年1月より宮澤幸久先生の後任として日本臨床検査医学会理事長を拝命しました。
この場をお借りし,新年のご挨拶と就任のご挨拶を申し上げます。

 

 昨年,本学会は創立60周年を迎えました。その歴史は我が国の臨床病理学,臨床検査医学の
歴史そのものであり,伝統ある学会の理事長の重責に身が引きしまる思いです。これまで本学会を
築いてこられた多くの先達に学び,さらに本学会を新しい時代に合わせて発展させてゆきたいと考え
ております。4年間,本学会のために粉骨砕身努力する所存ですので,会員の先生方におかれまして
は何卒宜しくご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。

 

 

 昨年我が国は未曾有の大震災を経験し,被災された方々はもちろんのこと,日本全体が試練に直面したと言っても過言ではありません。そしてその復興途中である今年も,私たちは激動の時代を生きることになるでしょう。当学会は震災後直ちに東日本大震災対策委員会なるアドホック委員会を設置し,岩手,福島,宮城を訪問し支援活動を行いました。一方で昨年は災害によって改めて人々の絆が問われた年でもありました。大災害の際に我々臨床検査に携わる者が出来ることは限られていますが,この経験を忘れず,来るべき大災害,震災だけでなくテロ,あるいはパンデミック感染症などに対処できるよう心の準備,気持ちの共有を通じて,学会,業界団体が一丸となって危機管理を果たせるよう準備が必要であると考えております。

 

 わたくし自身は臨床(内科)出身で,臨床検査の重要性はユーザーの立場から肌で感じて参りました。しかしながら臨床検査に対する一般の評価は決して充分ではなく,また本学会も「基本領域の18 学会」の一つに数えられているにも拘らずその認知度も充分とは思えません。社会が求める形での専門医や管理医を育成し,そして関連団体との連携により臨床検査士等の育成に努めること,加えて本学会,検査医学,検査医,臨床検査技師のステータスを高め,臨床検査の価値を啓発することが極めて重要と考えております。これには本学会の医師,臨床検査技師,研究者のみならず関連団体との相互理解と融和,団結が必要で,その為の仕組み造りに取り組んでゆきたいと思います。検査のステータスを高める為の,例えば臨床検査の保険点数を上げる努力,臨床検査の啓発活動を地道に行ってゆくことが肝要である事は論を待ちません。一方でこれら短期的な努力に加え,一般社団法人としてどのように公共性に取り組み,社会に役立ってゆくかを長期的な視野で議論してゆく事も必要と考えております。大変難しい問題ですが,皆様のお知恵を拝借しながら少しずつでもチャレンジしてゆきたいと考えております。

 

 学会運営においては,学術団体としての自然な流れを大切にしたいと思います。一方,コンプライアンス遵守に関してはこれまで以上に社会の眼が厳しくなっています。体制の整備,そして情報共有のための新たな仕組み造りが急務と思います。昨年本学会に新たに利益相反委員会が発足しました。学会における利益相反マネージメントの目的は,研究の透明性を保ち,学会員を守るとともに,学会の社会的信頼を守ることです。臨床検査医学は特に実学部分の比重が高く,医療現場での機器や試薬にからむ利益相反が発生する事が多くみられると思います。一方,他の専門分野に比して臨床検査分野での利益相反の意識やマネージメントは若干の遅れがあると言わざるを得ません。会員の皆様にわかり易く実際の作業がしやすい指針を作成してゆくことが急務と考えます。

 

 幾つか具体的な懸案を挙げますと,まず学会活動で最も大切な学術集会開催のあり方があります。より多くの方が参加し,活性化された学術集会を目指す為に何をすべきか,また実りある臨床検査展示会の開催に向けて何をすべきか,であります。我が国の臨床検査に関する基礎研究と実用研究,そして検査実務に関する最新知識を共有し国際間の交流を活性化して検査に携わる者のレベル向上を果たす為に,検査関連学会と団体は協力してその任務を果たすべきと考えております。

 

 また平成24年度は医療報酬と介護報酬の同時改訂となります。賃金,物価とも低水準で推移しているなか,震災や円高を背景に,診療報酬の引き上げへの期待は薄い状態ですが,当学会も加入する検査関連4団体で構成する日本臨床検査振興協議会等,各団体と協力して引き続き臨床検査の価値,評価の向上に努めてゆきたいと考えております。

 

 その他,専門医や管理医に関する事項としてカリキュラムの評価や試験の在り方等があります。他学会との整合性を考えつつ,当学会特有の問題を充分意識して方向性を考える必要があると思います。そして今年も専門医制度評価認定機構が各学会と協力して研修病院のsite visit が行われる予定です。会員の先生方には多々ご協力をお願いすることになろうかと思いますがその節は宜しくお願い致します。

 

 わたくしは,もとより浅学菲才の身ではありますが,日本臨床検査医学会の発展のために微力ながら全力を注いでいく所存であります。学会の原点である学術活動を活性化することで臨床検査医学を一層魅力的なものとし,国際的な視野をもった次世代が伸び伸びと活躍できる環境整備を行うことが責務と考えております。社会情勢や医療制度の違いにより国際間の比較は容易ではありませんが,学問に国境はなく,日本発のサイエンスが世界を飛び回り,made in Japan の技術がこの地球を救う,そんな光景を夢見ています。問題は山積していますが検査関連の学会/団体の皆様との対話を通じ,共通の目標に向かって邁進してゆく所存です。どうか皆様のご支援,ご指導を賜りたく宜しくお願い致します。そして本学会に対してこれまで以上の積極的なご参加を賜りますよう,お願い申し上げる次第です。

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