日本臨床検査医学会 Japanese Society of Laboratory Medicine

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臨床検査専門医の声

臨床検査専門医の声
あこがれのお仕事! 臨床検査専門医
(K医師)

臨床検査専門医ってどんなことしているのだろう?

 「検査部にいて、いろんな検査をしている」というように思いますか?
 だいたいは正解ですが、もうちょっと正しく知って欲しいと思います。一緒に病院で働く医療スタッフの中にも知らないっていう人もいます。そんなさみしい思いをすることもありますが、実は、病院全体にとって大変軍要な役割を果たしている、といっても過言ではないと考えていますので、今はマイナーキャラと思われても全く気になりません。
 そんな臨床検査専門医みなさんに紹介したいと思います。

 臨床検査専門医は、臨床検査に関する全般的な知識だけでなく、関連する有用な付加価値のある情報を臨床医に提供し、診療科と検査部を仲介する役割を果たすことで患者診療に貢献する専門医です。

図1 臨床検査医の役割

 具体的にいうと、検査技師と協力して的確かつ迅速に臨床検査が行われるよ うに検査部の管理運営や、診療科医師の検査相談を受けるなど診療に役立つサ ービスを拡大して診療業務支援を行う、が仕事のメインと思います。その他に は、生理検査などの高度な臨床判断を要する検査を検査医師としてみずから実 施することもあります。適切な臨床検査を推奨し、保険のルールに則って無駄 なくきちんと実施されるようにすることは、病院運営にとっても、医療全体に とっても良いことであり、これらに軍要な役割を果たしていると思います。

 ではいろいろ前置きをいたしましたが、「臨床検査専門医とはなんぞや」、そ んな疑問を解決すべく、大学病院で働く 1 人の臨床検査専門医のとある 1 日に 密着して、みなさまにその中身をお知らせしたいと思います。




 検査部の中でも検体検査部門では、患者さんの病気の診断だけでなく、健康診断などを受けられた方から採取された「血液や尿」など、提出されてきたさまざま検体を検査しています。
 一方、生理検査部門では心電図や超音波など、検査を受ける方へ「直接」検査を行っています。
 これら通常の検査業務は臨床検査技師が行いますが、医師としての診断が必要な判断が伴う場合、また日常検査業務から生じる疑問などを解決するために臨床的な知識が必要な場合、そんなときには臨床検査専門医も活躍しています。

 例えば、臨床上判断の難しい症例は技師から相談されることがありますし、また、診療科の担当医からの検査相談などに対応することもします。患者さんの状態を考慮しながら診療科医師と一緒に検査項目を考え、その検査結果を検査技師と一緒に説明する。そんないいとこ取りをしている感じかもしれません。

 検査専門医といっても大学の教員の場合には、研究業務は必須です。
 専門となる臨床検査医学は、臨床検査を主体とした基礎医学と臨床医学を結ぶ掛け橋となる総合的な学問です。その中でも、特に血液学、免疫輸血学といった自分の専門分野に関して、研究しています。また、日常の検査業務から生じた疑問や新しい検査法の開発などを行いますが、臨床検査技師とともに研究することもあります。検査機器もたくさんあるので、研究には大変便利な環境です。

 臨床検査専門医でもありますが、その前は通常の臨床医をしていた、そんな先生も多くいるのが特徴かもしれません。私も一介の臨床医でもあるので、通常の診療業務にも関与しています。こんなことから、検査部を利用する診療科医師の気持ちもわかるので、仲介役が果たせるのかな、と思います。
 大学病院などの大きな検査室であれば、自分の専門分野に関する検査室(自分自身がよく検査を提出する項目がありますよね?)の担当をしているので、他の患者さんの検査も自信を持って診ることができます。

 もともと循環器医師や消化器医師で、これらが専門であれば心エコーや腹部エコー検査室、呼吸器が専門であったならば呼吸機能検査室、血液内科医であれば、血液検査室などを担当できれば幸せです。バッチリな感じで働けます。
 一方で、小さい検査部であれば、どうでしょうか。そうではありません。臨床検査専門医として、全体の検査を知る必要が出てきます。検査を知ることで、自分自身の臨床の知識も増えること間違いなしですが、ちょっと大変かもしれません。ただし、入院病床をもたないため、比較的、時間をとりやすい部署と思います。研究の時間もそうですが、子育てなどライフイベント中の医師でも学びやすい、というところがメリットです。因みに私は、別の専門医をとる勉強する時間も確保でき、取得もできてしまいました。

 大学は教育機関ですので、学生の指導も行います。医学生だけでなく、臨床検査技師を目指す学生さんもたくさん検査部で勉強しています。

 検査部全体のカンファレンスなどをまとめ、臨床的な講義を行うこともあります。基礎と臨床が混在する臨床検査医学を指導し、将来の臨床検査専門医や臨床検査技師が多数輩出されるよう、頑張りたいと思います。

 いかがでしょうか?臨床検査専門医というお仕事に、ご興味を持っていただけましたか?