第2回EBLM研修会実施要領

 EBLM委員会では、国際臨床病理センターのご後援により、2003年8月23日(土)に 昭和女子大学(東京都世田谷区)において、初学者を対象に実技を中心としたEBLM研 修会を開催します。演習中心のため受講募集数は24名となっていますので、受講希望 の方は次の実施要領をご参照頂き、氏名・所属・連絡先を明記のうえ、早めにお申し 込み下さい。 ○期日:2003年8月23日(土曜日) ○会場:昭和女子大学(東京都世田谷区太子堂1-7)80年記念館6階実習室E   案内図:http://www.swu.ac.jp/showa/campus.html ○主催:日本臨床検査医学会EBLM委員会   ホームページ:http://www.jslm.org/c_eblm/ ○後援:国際臨床病理センター(ICPC)   ホームページ:http://ebd.umin.ac.jp/eblm/ ○受講対象者:原則として日本臨床検査医学会会員(それ以外の方でも応相談) ○受講定員:24名 ○受講費用:2,000円(教材費および弁当代を含む) ○お問い合せ・お申し込み先(事務局)  EBLM研修会担当委員 西堀 眞弘   〒113-8519 東京都文京区湯島1-5-45   東京医科歯科大学医学部附属病院 検査部   E-mail: mn.mlab@tmd.ac.jp ○研修内容(カッコ内は教材準備担当者です)  事前遠隔教育  (当日講義はないので教材を閲覧して事前に自習しておいて下さい)  (この目的以外で利用をご希望の方は事務局にご相談下さい)   1) EBMと系統的レビュー総論(西堀眞弘委員)    [説明つきスライド(HTML)]     EBMの歴史や概念と系統的レビューの概要   2) EBLM総論(西堀眞弘委員)    [説明つきスライド(HTML)]     臨床検査領域のEBMの概念や、系統的レビューの総論(手順、メタ分析の概    念を含めて)、各種団体の活動や系統的レビューの現状などの解説   3) 文献検索とハンドサーチの基礎知識(石田博委員)    [説明つきスライド(HTML)]     文献検索のためのデータベース(二次資料を含め)とその利用法の解説   4) バイアスとその批判的吟味の手法(石田博委員)    [説明つきスライド(HTML)]     研究デザインによるバイアスの紹介と、一次資料における内的妥当性の吟味    手法を主体にした解説   5) 臨床検査値特有の問題(三宅一徳委員)    [説明つきスライド(HTML)]     系統的レビューの実施やその成果を利用する際に問題になる外的妥当性(主    として測定法の標準化の有無による測定値変動、基準値、サンプリングの問    題)などの解説   6) 多変量解析によるバイアスの制御法(市原清志委員)    [説明つきスライド(HTML)]     診断的有用性を評価する際、偏り(交絡現象・交互作用)の制御に有用とな    る多重ロジスティック分析と重回帰分析の使い方を実例に沿って解説  09:00-09:10   開会挨拶(神辺眞之委員長・河合忠ICPC所長)   オリエンテーション(西堀眞弘委員)  09:10-11:20   ◇臨床的疑問の系統的記述(PECO)と一次資料の検索(石田博委員)    テーマ:「糖尿病患者に対する抗GAD抗体の測定は有用な検査か」     系統的レビューの出発点は適切な課題の設定と言えます。本グループでは臨    床検査のSRの出発点としての適切な課題設定について検討、学習します。     抗GAD抗体は糖尿病の成因診断上注目される検査項目であり、本学会第3次    案 1) では、"病型の診断と評価"に"実施が望ましい検査"に位置づけられてい    ます。一方、AACCガイドライン 2) では、本検査はほとんどの例で利用を勧め    られない検査としています(但しevidence levelはexpert consensus)。     一般に検査の有用性評価では、どのような対象(Patient)に対して、本検    査を行うこと(Exposure)は、その結果がない場合/他法による場合と比較して    (Comparison)、どのような利点(Outocome)をもたらすか(これらをまとめて    PECOと称します)を明確に設定する必要があります。     抗GAD抗体を用いる臨床的な状況やそのoutcomeの評価には、様々な切り口が    考えられます。そこで受講者の方々には、数点の文献(例:臨床病理    46(4):331-337、1998など)と、Cochraneライブラリ(CCTRに数件あり)、    PubMed、医中誌などのWeb上の情報を参考に、個別にPECO形式による臨床的疑    問の記述をしていただきます(1時間〜1時間半程度)。その後グループ内    で、a)PECO手順に則った本検査の系統的レビューの方針(おそらく複数)、    b)それに基づく一次資料検索の条件をまとめ、c)検索リストの作成まで    行って頂きます。    [文献]    1) DRG/PPS対応 臨床検査のガイドライン2001(第三次案)−23. 糖尿病.     日本臨床検査医学会編、94-98、2001    2) Guidelines and Recommendations for Laboratory analysis in the     Diagnosis and Management of Diabetes Mellitus. Clin Chem 48(3):     436-472, 2002  11:30-12:30   昼食休憩(人見記念講堂地下プレリュードにて弁当支給)  12:40-14:10   ◇検索で得られた文献の批判的吟味(三宅一徳委員)    テーマ:「糖尿病性腎症の予防のためのスクリーニング検査としての尿中微量         アルブミン簡易測定法の有用性」     本実習では、あらかじめ準備した一次資料について批判的吟味を行って    いただきます。本テーマに用いる一次資料は、Scheid DCら行ったSRの対象文    献から選択して用います(次のURLを参照)。     http://www.jfponline.com/content/2001/08/jfp_0801_06610.asp     本検査は、測定法(非特異的試験紙、免疫試験紙からRIAまで)、サンプリ    ング(随時、早朝、反復)、結果の表記法(定量値、アルブミン指数他)など    「臨床検査に特有の問題」も多く含んでいます。作業の進み具合によっては、    バイアスなどの内的妥当性の吟味に加え、外的妥当性の検証課題とすることも    可能です。     演習は、石田班チェックリストに従い、PCを用いてWebpage上のチェックリス    ト(現在文科省EBD研究班で作成中)にマークしていく形式を予定しています。    受講者の方々によるチェック結果を、そのままproductsとして提出して頂きま    す。  14:20-15:50   ◇多変量解析を用いた臨床検査の診断的意義の比較検証法(市原清志委員)    テーマ:「脂質やCRPの測定は生活習慣病の診断に有用か?」     脂質検査値やCRP値の異常と生活習慣病との関連を示すエビデンスが多数    報告されています。しかし、各検査値は健常者でもしばしば異常値をとり、そ    れらが生活習慣の偏り(肥満、喫煙、飲酒、運動不足、等々)をどの程度的確    に反映しているのか、興味が持たれるところです。     演習では、2つの大きな健診データを用い、重回帰分析により、検査値のレ    ベルと各生活習慣特性の関連性を定量的に解析します。一方、逆の観点から、    各生活習慣特性の偏りの有無を予測する指標として、各検査値がそれにどの程    度寄与しうるかを多重ロジスティック解析で検証します。これらの解析を通し    て、生活習慣病をとらえる上での各検査の優劣を評価するとともに、2つのデ    ータセット間での結果の整合性についてもディスカションします。なお、参考    となる基礎データとして、心筋梗塞患者と健常者の間で、生活習慣特性にどの    ような違いがあるかを、多重ロジスティック分析で調べた結果を提示し、検査    を多変量的に評価することの意義を総合的に討議します。  15:50-16:10   全体総括(司会:戸谷誠之副委員長)   閉会挨拶(神辺眞之委員長)