EBLM委員会議事要旨(2007.11.22)

日時:2007年11月22日(木) AM 10:00〜11:00 場所:リーガロイヤルホテル 6F 紅梅の間 出席者(○印、敬称略) 委 員 長 ○西堀 眞弘(東京医歯大) 委  員  石田  博(山口大)    ○市原 清志(山口大)      ○小方 則夫(燕労災病院)  ○片岡 浩巳(高知大)       北村  聖(東京大)     桑島  実(香川県立中央病院)       玉井 誠一(防衛医大)    三宅 一徳(順天堂大)      ○正木 浩哉(関西医大) アドバイザー 神辺 眞之(広島大院) ○戸谷 誠之(昭和女子大院) 議事 (1)国際関係について (1-1)EUのEBLMデータベースプロジェクトからの連携申し入れについて報告があ  り、引き続き検討することになった。   代表者:イタリア臨床検査医学会のDr.Romolo M Dorizzi   ホームページ:http://81.92.44.74/simelprontuario/ (1-2)IFCCのEBLM委員長から当委員会委員長への通信委員就任依頼について (1-2-1)日本臨床化学会の推薦が必要となるが、この点について特に異論はなかった (2)EBLMを取り巻く諸要素のマッピングについて、以下の通り報告があった。 (2-1)ポストゲノムの医学研究と医療技術の動向調査 (2-1-1)オミックス医療研究会設立、国際学会も立ち上げ準備 (2-2)EBMの動向調査 (2-2-1)全般の状況は大きく変わっていない (2-2-2)栄養の分野でのエビデンスに基づいた食事摂取基準の設定努力 (2-3)医学医療における生物統計学の動向調査 (2-3-1)多変量解析による交絡現象等排除の普及 (2-4)各国の医療政策の現状と見通しに関する調査 (2-4-1)やや勢い鈍化でトップ交替(米国)、医療IT推進協議会設立(日本) (2-4-2)個人健康情報記録への民間参入(マイクロソフト・グーグル)・電子私書箱  (日本) (3)関連委員会への働きかけについて、以下の通り報告があった。 (3-1)学術推進化委員会(石田委員、EBLMに関する1次研究の企画立案) (3-1-1)病態検査DBやエビデンスDBの構築、診断性能評価(石田委員) (3-1-2)特定健診・メタボリックシンドローム等のデザイン支援(片岡委員) (3-1-3)11月23日(金)18:00〜19:00の同委員会に西堀が出席予定 (3-1-3-1)詳細な企画案を基に具体的提案をすべきとの意見もあったが、今回はそ  の前段階の打診を行う (3-2)編集委員会(片岡委員、査読におけるEBLMの視点の強化) (3-2-1)質が低い研究を排除する方向ではなく、教育活動などで質を高める方向へ誘導 (3-2-2)最近臨床研究の登録番号制度について提言 (3-2-3)特定健診等の連載企画 (3-2-4)三宅委員があと3年編集委員の任期があるので今後ご担当をお願いしたい (3-3)標準化委員会(三宅委員、外部精度保証における適切な評価基準の指針検討) (3-3-1)精度管理委員会から本委員会への要望と論点の整理→【資料1】 (3-3-2)「日本臨床化学会クオリティマネジメント専門委員会 プロジェクト報告  生理的変動に基づいた臨床化学検査36項目における測定の許容誤差限界、臨床化学  35(2):144-153, 2006」【→添付ファイル(20071122_EBLM委QM資料.pdf)】 (3-4)包括医療検討委員会(ガイドライン編集におけるEBLMの視点の強化) (3-4-1)特に報告なし (3-5)治験委員会(臨床試験デザインにおける統計的妥当性の向上、副作用判断の  基準) (3-5-1)特に報告なし (4)(3-3)について次の議論があった。 (4-1)ある精度管理事業において、ブラインド化で適正なCVが得られたにもかかわ  らず、政治的配慮から中止され、この事実そのものも隠蔽されてしまった (4-2)レファレンスラボラトリーから適正なCVは得られるものの、平均値が参加施  設と合わないことがあり、分析精度と標本数の差による影響の分離が難しい (4-3)生理的変動の範囲は診断性能から見た要求精度とは合致しないことが多く、  機械的に目標精度とすることは難しい (4-4)ブラインド化とレファレンスラボラトリー導入が理想なのは自明だが、利害  関係者の協議で導入するのが難しい事情も理解できるので、中立公正かつ科学的な  立場から学会が正論を提言することは意義が大きい (4-5)個別の項目について具体的目標値を提言する前段階として、まず現状につい  ての問題意識を喚起する必要がある (4-6)たとえば、ブラインド化によるCVの変化を実証する実験に学会の資源を投入  し、いかにカンニングによるバイアスが大きいかを広く訴えるべきではないか (5)EBLMの啓蒙・教育活動について次の議論があった。 (5-1)EBLM相談窓口について、個別のエビデンスを提供するのは難しいが、方法論  の助言であれば対応できるかも知れない (5-2)EBLM研修会について、ニーズがあるにもかかわらず参加者が集まりにくいこ  とへの対策について次の意見があった (5-2-1)2級試験のような資格制度を設けてもらうと強力なインセンティブになる (5-2-2)栄養教育システム学会のNST認定など、他の資格制度とのジョイントでポイ  ントを認めてもらうのも効果がある (5-2-3)技師の立場では週末の方が参加しやすい (6)委員の任期について (6-1)内規では2期4年が限度となっているので、今年度ご就任頂いた2名を除き  原則として退任となる (6-2)ただし機械的に適用すると業務執行に支障を来すので、新執行部が柔軟に運  用することが予想される (6-3)当委員会は極めて専門性が高いので、新執行部が存続を決めた場合には、任  期期限を迎える委員に再任の意思を伺い、新執行部に伝達することになった                                    以上 【資料1】 (3-3-1-1)三宅委員からのご報告(2007.10.16) さて,先週日本臨床検査自動化学会時に日本臨床検査医学会標準委員会の 精度管理委員会が開催されました。 同会議において,宮地 勇人 精度管理委員会委員長より以下のような問題 提起をいただきました。 ・現状の国内サーベイにおける評価基準は統一されておらず,各団体がまち  まちの評価基準を設定している。 ・EBLM的な観点から,適切な評価基準の設定は可能か,可能であれば具体的  にどのように設定されるべきか。 会議の場では,IFCC(European Group for the Evaluation of reagents and analytical systems in Laboraoty medicine)や日本臨床化学クオリティマネ ジメント委員会による個体内変動に基づく許容誤差限界を「医学的根拠のあ る評価基準」の例として提示いたしましたが,これらについては  ・基準範囲付近でしか「根拠」が確保できないこと  ・現状のstate of the artを反映しないこと の2点が問題点として指摘されました。 精度管理委員会としては,原案の提案について一任するとのことですので, EBLM委員会として「外部精度保証における適切な評価基準」指針のご検討 をいただければ幸いです。 (3-3-1-2)論点の整理 (A)カンニングの弊害と実態について (A-1)極端に小さなSDが評価基準となる悪循環に陥っており弊害は大きい (A-2)一部に見られるが実害は少なくSDの極小化はサーベイの成果である (A-3)複数ブラインド方式のサーベイで予防できるが現状では実施困難である (B)許容誤差範囲と評価基準との関連性について (B-1)病態別にどの程度の誤差であれば診断上の影響を回避できるのかを項目毎に  決定していくのがEBLM的な許容誤差の決定法である (B-2)臨床判断値の境界値での誤差はゼロであることが理想なので、技術とコスト  のバランスで最善を追求すべきである (C)レファレンスラボラトリー制度の必要性について (C-1)本来外部精度管理の許容誤差範囲は、予めレファレンスラボラトリーにより  定められるべきもので、それをやっていないからカンニングが横行する (C-2)その際単純にレファレンスラボラトリーのSDをそのまま1回の測定値の評価  基準に用いるのは不適切で、複数の検体の反復測定などの結果に基づいて定めるべ  きである                                  以上