日本臨床検査医学会 Japanese Society of Laboratory Medicine

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臨床検査専門医の声

臨床検査専門医の声
臨床検査医になること
(M医師)

内科研修医としてはこれ以上の経験はありえないほどの研修期間を送ることができました。その後の進路として臨床検査医学(当時は臨床病理)を選択した理由は、研修医時代に疑問になっていたことをそのままにしたくない!そのためには病態を理解したい、病態を理解するためには生 態メカニズムを知ることが不可欠。全身状態を知るために1解剖学的な分野から理解するには病 理学か放射線医学、2生化学・生理学・免疫学から理解するには臨床検査医学がある、と考えました。もちろん病態を深く理解するには基礎医学が最適かもしれませんが、やはり臨床医として過ごしたい思いがありました。また、今では多くの大学にある総合内科学はありませんでした。
個人的には解剖学的アプローチよりも生化学的アプローチが好きであったため、迷いなく臨床 検査医学を選択しました。臨床検査は検体検査という数値で結果を求めるためのさまざまなプロセスを理解する必要があります。自動分析機のこと、測定プロセス、各検査項目の精度などは学生時代や研修医時代にはあまり学ばなかったことで新鮮でした。また、病態を理解していなけれ ば臨床検査の結果を的確に把握することはできません。どのようなときにどのような検査項目を選択するかを誤ることの危うさなども次第に理解できるようになりました。臨床検査の手法も時とともに変化し、遺伝子検査も行われるようになり、遺伝子を通じての病態を理解することがいかに楽 しいことかも体験できます。
せっかく専門性の高い職業を選択したからには、わからないことをわからないままでいることは もったいないと思いませんか。非常に専門性が高い狭い分野を深く追求することもとても有意義なことと思いますが、広く病態を知ることもとても有意義だと思います。臨床医として患者さんからの素朴な疑問に答えられる医師は案外少ないのが現状です。臨床検査医学は検査の世界を通して 生体内でどのようなことが起こっているかを知り、さまざまな疾患を理解することができる魅力的な 分野だと思っています。
臨床検査医学は大きく分けて検体検査と生理機能検査からなっています。通常どちらも受け持 ち症例はないため、決められた勤務時間を大幅に延長されることはありません。研究に費やす時間はこれに限りませんが、当直や時間外の長時間の拘束が少ないことは短期間に心身をすり減らして、ある日突然、やる気を失ってしまう危険性も少なくなると思います。家庭を持ちながらも専 門性を追求し、第一線の医師で居続けることができる数少ない分野として臨床検査医学を選択肢 としてみてはいかがでしょうか。