日本臨床検査医学会 Japanese Society of Laboratory Medicine

第2回医学生・研修医のための臨床検査セミナー 開催報告

 臨床検査は日本専門医機構認定専門医制度の基本領域の一つです。疾病の診断や健康状態の把握に欠かせない臨床検査において専門性を有する臨床検査(専門)医の業務は重要ですが、多くの学生・医師にとってなじみが薄いのが現状です。臨床検査(専門)医とはどのようなものか、また臨床検査の ‟おもしろさ“ そして ”奥深さ“ を広く伝えることを目的として、2017年より学生や若手医師を対象に臨床検査セミナー(旧:ハンズオンセミナー)を開催して参りました。
  本年は第2回として、昨年に引き続きWebセミナー形式で開催しました。各地から医学生や若手医師、臨床検査専攻医が多数参加し、活発なディスカッションが行われました。RCPCへの視聴参加が引き続き臨床検査領域講習(指導医講習)に認められたこともあり、全国より多数のご参加をいただき、大変盛況のうちに終了いたしました。多くの皆様のご参加に心より御礼申し上げます。 

概要
 主 催:日本臨床検査医学会 ワークライフバランス委員会、東北支部
 共 催:日本臨床検査医学会 教育委員会、日本臨床検査専門医会 教育研修委員会、日本医師会
 日 時:2025年9月7日(日) 13時~17時
 会 場:Webセミナー
 受講料:無料
 対 象:医学生(5、6年生)、初期臨床研修医、臨床検査専攻医、転科を検討中の医師
 参加者:医学生12名、医師65名(うち初期研修医7名、臨床検査専攻医14名)

  プログラム

セミナーの様子 
1.開会の言葉
東京大学の西川真子先生の司会進行のもと、秋田大学の植木重治先生からご挨拶をいただきました。

2.講演1「臨床検査専門医のキャリアパス・大学病院の専門医業務紹介」
東北医科薬科大学 髙橋伸一郎先生からは、基礎研究と臨床を両立し専門性を発揮できる臨床検査専門医の魅力を軸に、診療支援の実践例をはじめ、学会発表や論文作成・学生教育を含む学術活動、検体検査管理加算取得など病院経営面の利点に至るまで、多彩なバックグラウンドを持つ医師が専門性を発揮できる臨床検査専門医の強みや将来性についてご紹介いただきました。

3.講演2「市中病院の専門医業務紹介」
青森県立中央病院 北澤淳一先生から、ご専門である小児血液診療から臨床検査専門医を取得するまでの歩みについて、また臨床検査専門医として臨床遺伝科での診療と並行しながら、技師のサポートや新規検査の立ち上げ、精度管理、学会活動・認定取得支援、病院運営に関わる調整など、市中病院における幅広い業務を分かりやすくご紹介いただきました。

4.RCPC
信州大学の松本剛先生より事前にご提示いただいた検査データをもとに、参加者を小人数のグループに分けて、病態についてのディスカッションを行いました。参加された医学生、若手医師の先生方には、事前に担当としてお願いしていた検査項目について解釈を発表していただきました。それらを元にグループ内でさらなるディスカッションが行われ、より深い病態解釈が進みました。3つのグループよりディスカッションの内容を発表いただいた後、松本先生より症例の解説をしていただきました。活発な議論を導いていただきました多くのファシリテーターの先生方にこの場を借りて御礼申し上げます。

ファシリテーター:
朝比奈彩 (静岡赤十字病院)、植木重治 (秋田大学) 、上蓑義典(慶応義塾大学)、大山陽子 (鹿児島大学)、中村文彦(奈良県総合医療センター)、増田亜希子(虎の門病院分院)、松下弘道(慶応義塾大学)、眞鍋明広(福山市民病院)、山口宗一 (鹿児島大学)、山本正樹 (京都大学) 

5.臨床検査専門研修・臨床検査専門医についての質疑応答
西川先生の司会のもと、臨床検査専門研修・臨床検査専門医についてのQ&Aが行われ、臨床検査専門医の先生方よりご回答いただきました。実際に検査医として従事されている先生方のお話は、臨床検査専門医を目指されている方にとって、臨床検査医のイメージをつかむ貴重な機会になったと思います。
臨床検査専門研修・臨床検査専門医に関する問い合わせは、本学会ホームページのQ&A、本学会の専門医相談・サポートセンターもご活用ください。
Q&A | 日本臨床検査医学会 Japanese Society of Laboratory Medicine

問合せフォーム

6.循環器検査の面白さ、再発見! ― 心電図と心エコーで拓く診断の扉
弘前大学の富田泰史先生より、心電図と心エコーを題材に循環器診断の醍醐味を体感できるレクチャーが行われました。心電図波形の読み取りポイントやエコー画像の評価法を丁寧に解説いただき、動画症例を用いて診断プロセスの奥深さを実感できる時間となりました。さらに、施設内で臨床検査専門医がどのように循環器診療を支えているか、具体的な働き方やキャリアパスについてご紹介いただきました。

7.閉会の言葉
慶応義塾大学の松下弘道先生(ワークライフバランス委員会担当理事)からご挨拶をいただきました。

セミナー後のアンケート集計結果
セミナー後に実施したアンケートでは、61%の方から「大変良い」、33%の方から「良い」と大変好意的にご評価いただきました。
さまざまなご感想をいただきましたので、一部をご紹介いたします。
・臨床検査医の仕事の内容やキャリア、RCPCなどさまざまな内容を学ぶことができた。
・内容が充実しており沢山の興味深い知識が学べた。
・とてもおもしろく、この先どのように血液検査所見を見ていけばいいのか参考になった。
・検査医がどういうものかわかりやすいと思った。
・検査という分野に触れるいい機会で、関心がもてる内容であった。
・講演の内容と、RCPCの内容がともによかった。あらゆるレベルの層に対応した内容と運営になっていた。

アンケートの集計結果は、今後の企画の参考とさせていただきます。 ご協力いただいた先生方、並びにセミナーにご参加いただいた皆様、ありがとうございました。