日本臨床検査医学会 Japanese Society of Laboratory Medicine

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臨床検査専門医についてのQ&A 〜医師として活躍されている方へ〜

「臨床検査医」って?

 検査室を管理するとともに、検査にかかわる診断業務を行う医師です。検査技師の方々と協力して、検査を適切に実施し、正確·精確なデータを返却できるよう、努力しています。日常診療では、「正確なデータが返ってくるのは当たり前」と思われているかもしれませんが、それは検査部医師·技師の日々の努力の賜物なのです。

「臨床検査専門医」って、どんな資格ですか?

 広範囲にわたる臨床検査について理解した、臨床検査のエキスパートです。

「臨床検査専門医」には、どんなメリットがありますか?

 検査室の管理·運営において必須の資格ではありませんが、臨床検査専門医の資格をもつ医師は、検査室を管理する上で、十分な能力があるとみなされます。検査室を管理する常勤の医師がいる場合、「検体検査管理加算」を算定できるため、検査室専任医師のニーズはかなりあります。臨床検査専門医を取得することで、アピールにつながります。

どんな勉強をしたら、臨床検査専門医になれますか?

 臨床検査には、臨床血液学、生化学、免疫、輸血、微生物,超音波検査などの生理機能検査など、様々な分野があります。臨床検査専門医になるためには、各分野について理解するだけでなく、検査室の管理など、総論的なことも学ぶ必要があります。指導医や熟練した臨床検査技師のもとで研修し、学習します。規模の小さい施設では、その施設のみですべての分野を網羅するのは難しいかもしれませんが、他の施設に協力していただいて一通り研修することが可能です。
 なお、専門医機構が普及を目指す専門医制度は、初期臨床研修修了後の医師が3年間専門研修することを基本としており、当領域でも基本的にはそれに沿ったプログラムを用意しております。しかしながら、当領域には他科で活躍されている医師の参入の可能性が高いことから、そのような方には毎日の研修を3年間ではなく、1~2日の研修を6年間などのオプションを相談の上、準備することは可能です。詳しくは学会に相談ください。

どこで研修できますか?

 詳細はこちらをご覧ください。
 新しい専門医制度のもとでは、約80の基幹研修施設が認定される見込みです。

研修中も、臨床はできますか?

 ある程度は可能だと思います。検査室では臨床検査の研修が主となりますが、多くの医師は関連部署や関連病院で、週1~2 回程度の外来診療を行っています。診療科のカンファレンスに参加している場合も多いです。

研修中も、研究できますか?

 研究も可能です。施設によって、研究内容や環境は異なります。
 大学病院の場合、多くの医師は検査業務と並行して、様々な研究を行っています。検査部は横断的な部署であり、検体や検査データを用いた臨床研究に取り組みやすい環境にあります。研究室によっては、より基礎的な研究も可能です。

専門医になったら、どんな毎日になりますか?

 大学病院の場合、多くの医師は診療·研究·教育を並行して行っています。内科系サブスペシャルティをもち、臨床検査専門医となった場合は、内科系診療科の外来を担当している場合も多いと思われます。
 病棟業務や当直がないため、時間は比較的自由に使えます。

T 大学病院常勤医師の場合

  AM PM
月曜日 内科外来(外勤) 骨髄像判読
火曜日 内科外来(外勤) 学生実習
検査部カンファレンス
水曜日 研究 骨髄像判読
木曜日 診療科カンファレンス参加 内科系専門外来
金曜日 研究 骨髄像判読
主な業務
  • 検査業務:血液検査室、遺伝子検査室、免疫検査室の管理を兼任。骨髄像報告書作成およびアドバイスサービスを担当。
  • 診療:院内の内科系専門外来を担当。
  • 教育:学生教育(実習、講義)、初期研修医向け講義を担当。臨床検査技師の指導も行う。
  • 研究:自分の研究テーマに取り組むとともに、検査技師の研究、論文作成の指導も行う。
  • その他:検査部カンファレンスに参加。各種委員会の会議にも出席する。

女性医師に向いていますか?

 病棟業務や当直がないため、マイペースに仕事ができます。ワークライフバランスを考えながら、仕事に取り組むことができます。また、育児や介護があっても、そのときに合った勤務形態で働くことも可能です。

他の専門分野との両立は可能ですか?

 少し大変かもしれませんが、他の専門分野との両立は可能だと思います。内科系サブスペシャルティをもち、臨床検査専門医になった場合、臨床経験を維持できるかどうかは、気になるところかもしれません。病棟業務はありませんが、外来診療を担当することで、臨床的な能力をある程度維持することができます。検査を主として担当することで、幅広い診療科の医師とやりとりし、今までになかった経験·知識を得ることも可能です。